2016年10月28日金曜日

電動カッピング機器比較

以前より電動式カッピング(吸い玉治療)機器のお問い合わせを多く頂いておりまして、その中でも同価格帯の類似機器の比較を依頼される事が多くあります。
その際には「医療機器として認可されているか、その他の電動機器か」との比較や吸引の力や操作性・調整の仕方等について数機種を含めて返答をさせて頂いております。
この度、医療機関と医療機器の製造に精通した方のご協力により、同価格帯の2機種を比較することができました。医療機器の専門家のご意見を頂きながらご説明を頂きましたので、簡単ではありますがレポートをさせて頂きます。
尚、弊社取扱の管理医療機器「吸灸」に関しては製造メーカーにお願いをして名称を出させて頂きますが、比較対象とさせて頂きました電動カッピング機器については医療機器認可をされている機種ではなく、弊社でも取扱を行っていませんので商品名は伏せさせて頂きます。



それでは、電動式カッピングとも言える心臓部分から見て行きましょう。
上の写真は吸灸(左)と電動カッピング機器(右)を比較したものです。吸灸は霧島黒酢(メーカー名:株式会社ジェイシーエヌ)の自社製造のポンプです。右は工業用の汎用ポンプです。

左はオイル循環式のポンプで、右はドライ駆動でオイルを使用しないポンプです。
メーカーによりますと、「オイル循環式のポンプは耐久性に優れ、真空まで吸引出来る事が特徴です。モーターと分離する事で、万が一の故障の交換時も交換が必要な部品のみを交換出来る利点があります。また、汎用ポンプと異なり、吸い玉用に最適なポンプ容量を計算して設計する事で、治療時にも効果的な使い方ができます。」(吸灸)
「オイルを使わないので空気を汚しません。」(電動カッピング)
と、両者の特徴があります。弊社でも以前取り扱っていました機器「バンキー(現在はメーカー倒産)」もオイルポンプ式の医療機器でした。オイル式で空気を汚すと気になる事はあまりありませんでしたし、ポンプからの排気ホースを利用する事で数十年問題が無かったと記憶しています。特にオイル式は耐久性がある事は、弊社でも実証済みです。

また、吸灸のオイルポンプは空気を汚すか?については、メーカーからの返答で「ほとんど気になるほどのオイルミスト(オイルが気化する事によって発生)は出ませんが、本体内に専用のオイルミスト・フィルターを装備しているので、このフィルターで気化オイルが発生した場合でも浄化しています。」との事でした。実際に数時間での使用でもオイル臭が気になることはありませんでした。でもオイル臭が気になることはありませんでした。



次に、本体内に吸引された空気を浄化する内部フィルターです。外部からのゴミを吸い込み過ぎると、機器を傷める可能性があるため、どちらの機器もフィルターを装備しています。ちなみに吸灸は経路別に2箇所のフィルターを装備し、本体外部にも1個のフィルターを装備する念の入れようでした。主にユーザーが清掃可能な外部フィルターだけでも機能的には十分ですが、内部にも2箇所のフィルターがあると長期使用や医療機関でのハードな使用でも安心です。

電動カッピングの場合、写真のフィルターが内部に1個装備されていますが、フィルターの場所が外部吸引直後ではなく、真空計器を通った後に付いています。これではポンプの保護になりますが、他の計器類の保護にはなっていません。どうしてこの場所なのか?不思議に思ってしまいました。



次は電気配線関係です。そもそも医療機器の吸灸は電気機器としての認可もしっかり取得していますが、、ACアダプターで使用する電動カッピングの場合は本体にPSEマークやJETマークの取得すら必要ありません。特に管理医療機器の場合は電線1本にまで細かい規定があり、固定方法も認可の判定基準になります。



さて、実際の電源部分の処理を見てみます。左の吸灸は電線の太さや絶縁、固定もしっかりとしており、余った電線がブラブラなんて事もありません(当然です)。
吸灸の端子の一部が写真では露出していますが、これは本体分解時に接続していた端子(モーター側)を外したためです。

右の電動カッピングの場合、電線の太さや長さ、絶縁の処理も含めて良い状態とは言えません。いくら12Vだとしても、もう少しちゃんと作って欲しいと思うのですが。
下写真の黒いホースは両機種とも同じに見えます。実際は右の電動カッピングの方が軟らかいホースになっています。

右の吸灸のホースは固いホースです。メーカーによりますと、「吸灸は真空圧までのポンプ性能があるために、真空に絶える専用ホースを使用しています。同じ黒ホースに見えるようですが、耐圧・耐久性共に全く別物です。吸着用カップも吸灸本体の性能が高いために、一般的な強度のカップでは破損の可能性もあるので専用品を使って下さい(専用カップを使う事で管理医療機器の認可を取得している)。」との事でした。

本体の接続や配線、配管の取り回しを見てみると両方の機種の違いがよくわかります。上の写真からも、機器としての美しさの違いが一目瞭然です。
専門家の人も、右の内部を見て「がっかりというか、ビックリというか・・・しかも鉄板の本体に絶縁処理をしないで取り付けるなんて、12V機器でも危ないのでは?」とおっしゃってました。
右の電動カッピングもヒューズをつけていますが、これは100V用のヒューズなので意味がありません。

両機種ともポンプからの経路にガラス製のビンが取り付けられています。これは以前のバンキー時代にもあって、ポンプ内部に異物が混入した場合、溢れたポンプ油が流れ出さないようにする部品でした。電動カッピングの場合、ビニールテープで止めてありますが、テープが劣化して意味のない状態でした。そもそも、ポンプにオイルを使わない電動カッピング(右)に必要な部品なのかは不明なのですが、一応は圧力調整をしているのでしょうか?
ちなみに吸灸は、本体内部にヒューズを装備していますが、本体外からも交換できる場所に1次ヒューズが取り付けてあります。通常の場合は本体外のヒューズのみの対応で大丈夫だそうですが、2重の保護のために内部ヒューズもつけているそうです。

この他にも両製品を比較して色々な御意見を頂く事が出来ました。ここではお話出来ないディープな内容もあるのですが・・・。
で、専門家の方によると「吸灸は30万円ですよね。他方(電動カッピング)が20万円だとしても高すぎますが、吸灸って安すぎませんか?使っている部品からしても管理医療機器であることからしても・・・特価ですよね。電動カッピング、これはおもちゃレベルにしか見えませんね。」と。



色々と御意見を頂いている途中、実際に動かしていると電動カッピングの方は最低吸引圧が50以下になりませんでした(上写真右)。1年ほど使用した機器らしいのですが、この状態では通常のカッピングやエステでも使用に問題が出てきます。

吸灸は0〜真空までしっかりと調整出来ていましたので、電動カッピングはどうして?と思ってしいました。ちなみに上の写真の左は真空カッピングの配線処理です。正直、美しくない以上に問題もあると思います。

エステでカッピングを施術する際、吸引圧は20くらいを多用します。フェイシャルカッピングの場合は特に低い圧で行わないと、色の反応が出ることがあります。いくら数日で消える色の反応(色素反応)だと言え、顔に色素反応がでるのではダメですよね。また、一般的な施術の際も30〜40の圧でじっくり行うこともありますが、最低吸引圧が50だとこのような施術では使えません。
工業用のポンプですので、低い圧力での使用を想定していないのかも知れません。

今回の機器をご提供頂きました医療機関様には、本当に感謝しております。また、比較用に吸灸の内部を提供して頂いたジェイシーエヌ様、本当にありがとうございました。


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